原題と邦題で受ける印象がまったく違いますね。邦題から察すると何だか明るい話ですが、原題は「壁」という意味を用いていて、どちらかといえば暗い印象です。解釈を曲げる恐れのある邦題はどうかと思います。重箱の隅をつつくようですが、タイトルは重要だと思う。
ちなみに英題は『The Class』と中立的です。邦題で『教室』にしても昔の小説のようで今はうけないんでしょうかね?
登場する生徒たちは外見が大人びているのですが、授業風景は僕の中学、高校を思い出させるようで、リアルに描かれていたのだと思います。また、教師たちも「模範教師」としては描かれておらず、彼らもまた動揺もするし、偏見も持っています、間違いもします。学校を「教師と生徒の集まる場」としてではなく「教師と生徒と呼ばれる人間の集まる場」として描いていると思いました。
「教室」という場の理想と現実のギャップを描いた作品であるように思います。ただ、引っかかるのがローラン・カンテ監督のこの言葉。
「世間一般に蔓延している、ティーンエイジャーに対するネガティブな見方や偏見をなくしたかった。」
これはおそらくジョークでしょう。ジョークじゃなかったら「失敗」です。どこのシーンでこれを伝えたかったのでしょうか?教師に食ってかかる点?美しい言葉をタトゥーにした点?プラトンの『国家論』を読んでいた点??…とってつけたようなエピソードに見えましたが…
確かにこの映画はドキュメンタリーじゃないかと思わせるくらい、リアルに描くことに成功しています。しかし、写実的な絵が必ずしも良いとは限らないように、映画もリアルに描けば良いってもんじゃないと思います。いよいよ「パルムドール」も信用できなくなってきました。
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