1944年(昭和19年)、第2次世界大戦の真っ只中に書かれた旅行記です。このとき、太宰治をはじめとした大部分の日本人は1945年8月15日に敗戦を告げられるとは思ってもいなかったのでしょう。この『津軽』の中でも、「国防上たいせつな箇所になるので、れいに依って以後は、こまかい描写を避けよう」(P196より)…と太宰自身が記述を自粛しているところが非常に興味深い。
この旅行記を読んで、従来の太宰治のイメージが変わった。(もっとも、『人間失格』と他数点の短編しか読んだことはなく、僕の太宰のイメージなんて取るに足らないものなのだろうけれど…)
太宰治と言ったら『人間失格』と彼自身の自殺のイメージが強すぎて、暗い印象をぬぐうことはできなかった。しかし、『津軽』での太宰は実に人情味溢れていて好感が持てる。特に先輩作家(志賀直哉?)の悪口を口走ってしまうところは微笑ましく、面白かった。
この本を読まずに太宰治を語るなかれ。
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