この本は英語の授業テキストとして一度読んだのだけど、一週間ごとに少し読んだので話の流れが掴めず、もう一度頭から再読した。
話の流れが掴みにくいのは演劇の戯曲の形式になれていなかったこともあるが、何よりも話運びの特徴にある。ストーリーが現実と妄想の入り混じったかたちで進み、過去と現在とが並列で語られているため、集中して読まないと混乱してしまう。
主人公、ウィリー・ローマンは野望を高く持つセールスマンだった。これには彼の父と兄のベンにあこがれていた傾向が強い。彼もその野望の強さだったら兄に負けていなかったのだろう。しかし、彼は自分が思い描いていた理想の「セールスマンの死」とは全く正反対の孤独な死を遂げてしまう。アメリカン・ドリームへの憧憬と残酷な現実との対比がおもしろい。
僕がこれまでに読んだギリシア悲劇やシェイクスピア悲劇は確かに悲劇なのだが、「父殺し」などテーマに馴染みがなかった。『セールスマンの死』は、あえて変な例えを使うなら「親近感の湧く悲劇」だった。現代社会に通ずる悲劇、だからそれだけ哀しく、怖ろしく、衝撃的な作品だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿