安部公房『密会』を読みました。以前読んだ『箱男』は「覗き」の話でしたが、この作品は「盗聴」がキーワードになっています。医者も登場するし、『箱男』と似ているなと思いながら読み進めていきましたが、この作品は非常に「どきつい」小説でした。もっとはっきりに言えば読んでいて吐き気がする本でした。先日読んだバタイユの『目玉の話』もエグくて吐き気を催すような内容でしたが、実感に吐き気を感じたことはありませんでした。
『目玉の話』の過激さは個人的な嗜好にとどまるのに対して、『密会』には多数が性欲溺れ、病んだ社会がありました。さらに「密会』の主人公が一人取り残されているがために、その社会のエグさ・醜さが浮き彫りになったのでしょう。
もしかしたら現実でも社会は「性欲」というものを受け入れすぎているのかもしれません。テレビでは、婉曲してはいますが猥褻な話を許している感じがしますし、本屋やレンタルショップなどでは当たり前のようにアダルトコーナーが存在感します。特にインターネット!あれほど、手軽にエロに触れられてしまうものが他にあるでしょうか?
『密会』の世界は完全なフィクションだと単純に済ませられません。(もちろん完全なフィクションなのだけれど)現実の社会の一面を確かに捉えているのだと感じました。
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